蓮華草
"ごめん"
最近の春はそんな言葉ばっかり使う。
それはまるで突き放されているかのようで
謝られるたびに心が鈍く痛むのだから
やめて欲しかった。

「────────私を思って、春。
私を思うなら、ごめんなんて言わないで
謝らないで。
そんなの、悲しいだけだから
私を信じて。もっと頼ってよ......」

"お願いだから"
震える声で伝えると、
彼の頭が項垂れるように私の肩に押し付けられる。
微かな吐息が肩にかかってくすぐったい。
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