蓮華草
「ずるいよ、美蓮。
そんなこと言われたら、俺がもう何も言えなくなる事ぐらい知ってるくせに」
「初めて知った」
「嘘つき」

私を抱きしめる腕に力がこもる。
応えるように広い背中に腕を回して抱きしめ返すと、
高鳴る心臓の音が重なり合う。
私達、本当に同じ気持ちなんだ。
彼の胸に耳を寄せてその音に聴き入った。

「へへへ、春の音だ」
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