蓮華草
青年は照れくさそうに笑ってから
今度は私の胸に耳を寄せる。
ドクン、ドクン
大きく響く私の鼓動。
ねぇ、この気持ち、ちゃんと伝わってる?

「ちゃんと伝わってるよ。美蓮の気持ち」

見透かすような言葉に心臓が跳ね上がった。
そこまでしっかり聞いてから
彼は口の端を釣り上げて
そっと胸から耳を離した。
なんて意地悪な性格なんだろう、普段は優しいだけの癖に。
意外な一面を垣間見てしまって
思わず小さく笑ってしまった。
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