ByeBye
私が本気で言ったことは伝わってないかもしれないけれど、これ以上かっこいいと言い続けては、私の気持ちに気づかれてしまうかもしれない。
結局、樹の提案に軽く返事をして、私たちは近くにあったレトロな雰囲気を漂わせた小さな喫茶店に入ることにした。
お客さんはちらほらいたけれど、店内はほどよく静かでゆっくり話をするには最適だった。
「なににする?」
席について、メニューを開いた樹が聞いてきた。
「…あ、私はカフェオレがいいかな…」
「はは、変わんないね。俺はミルクティーにしよ」
「…樹も変わんないじゃん」
「まあ。他に何か頼む?」
彼の言葉に首を振り、店員さんを呼んでカフェオレとミルクティーをひとつずつ注文する。樹がメニューを閉じたところで、私は小さな声で、「…覚えててくれたんだね」と呟いた。