ByeBye





そうしてるうちに関わる機会が多くなって、気づけば3人でいることが当たり前になっていた。そんな中で、あたしは徐々に樹のことを知っていくことになった。




彼は、運動が好きで、トマトが苦手で、人の何倍も周りが見えていて、冷たいくせして、優しい。

あと、───好きな子が、いる。




それを知ったのは、仲良くなってすぐの事だった。





「今日リリの迎えあるから先帰る、ごめん」





リリというのは、5歳になる柚生の妹。彼の母親が忙しい時は、彼がリリちゃんを保育園に迎えに行くことはしばしばあった。

「あ、うん。わかった」と軽く返事をすると、柚生はぽん、とあたしの頭を軽く撫でてから帰って行った。





久々に一人だし、買い物でもして帰ろうかな。

なんてそんなことを考えながら昇降口に足を運ぶと、なにやら隅の方から声が聞こえてきた。




「…入学した時から一目惚れしてました…良かったら付き合ってくれませんか…?」






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