ByeBye
声がする方にチラッと目を向けると、そこにいたのは小柄でふんわり髪を巻いた女の子だった。…普通に可愛い。
こんな可愛い女の子に告白される相手は、いったいどれほどかっこいいんだろうか。好奇心が勝って会話にそーっと耳を済ませる。
「…ごめん。好きな子、いるから」
耳を通ったのは、もう聞き慣れてしまった声だった。
「…そう、ですか…、」
「…ごめんな」
「いっいえ!大丈夫です…っありがとうございました、」
こっそり見ていたあたしの横を、さっきの女の子が涙を抑えながら通り過ぎていく。
あたしはハッと我にかえって、そのまま帰ろうとした彼を呼び止めた。
「樹っ」
「…え、唯乃?」
あたしの声に振り返った彼は、「春川は?」と眉をひそめて言った。
「妹ちゃんの迎えあるから先帰ったよ。今帰りなんでしょ?途中まで一緒行ってもい?」
「いいけど」