ByeBye
「良かったじゃん」
「…まあ、」
その後樹はすぐ返事をして、ユナと会うことになったらしい。
樹はあたしのことを恨んでいないっていっていたけど、それでもやっぱり気が引ける部分は少なからずあるわけで。
樹がユナと会うことで幸せになれるなら、それでいいと思ってた。
だけど、その翌日。
「…有那にキスした、」
「え」
とばしすぎじゃない?樹ってそんな人だったの?
なんて、樹の意外な1面にニヤニヤするあたしとは反対に、彼は心底後悔した表情を浮かべている。
「有那の気持ちも聞かないであんなの…最低だ、」
「いや、ユナって絶対樹のこと、」
「…やめろ」
"好き"だよ
ユナはきっと、樹のことが好き。
いや、きっとじゃない。絶対、だ。
本当はお互い、中学の時から想いの1線は超えてたはずなのに。
───母さんのことがあるし、金のことも。
それにもし仮に付き合えても一緒にいる時間がとれなくて有那のこと退屈させる。そう考えたら、告白なんてできなかった。
樹は静かにそう言った。
「…俺は、親友のままでいる」