ByeBye
それから1ヶ月経とうとしていた時のことだった。
恵さんが、亡くなった。色んな治療を施していたけれど、ダメだった。
樹は、1番大事にしてたものを失った。
「母さん…っ、」
彼の涙を見たのは、それが初めてだった。
こういう時、なんて言うのが正解なんだろう。たくさん考えたけど、考えても考えてもあたしにできることなんかなくて、ただただ苦しかった。
…こういう時、ユナがいてくれたら。
何度も、何度も。…そう、思った。
それからあたしと樹は、今まで以上に一緒にいることが多くなった。もちろん柚生も一緒だし、あたしが樹を好きになるとかそんな心配はなかったけど。
少しでも、彼を支えられる存在でありたかった。