ByeBye
学校の帰り道、よく自動販売機で飲み物を買って帰った。時々ふたりで飲み物を買って公園で話しながら飲むのが、ひそかな楽しみだった。
その時から私はカフェオレ、樹はミルクティーっていうのが自然と決まっていたのだ。そんなささいなことを覚えてくれてたことが嬉しくてしょうがない。
「あんだけ一緒にいたら覚えるよ。有那は甘いものが食べたいからカフェオレでバランスとってるんだったよな」
「…正解」
久々に会うから少し緊張していたけど、やっぱり樹は樹のままだった。身長がどれだけ伸びても、どれだけかっこよくなってても、私たちの距離感は一定のまま。
変わることのない距離に、私は安心した。
時々カフェオレを口に含みながら、私と彼はただただ語り合った。学校のことや友達のこと、中学時代の話など、ひたすら色んな話をしてそろそろネタも尽きたかなと思ったとき。
「そういえば有那、彼氏できた?」
「え」
樹が突然そんなことを聞いてきた。動揺して、飲んでいたカフェオレでむせてしまった私を見て、彼は「いるの?」と再度聞き直す。
…樹にそんな事聞かれるなんて思ってもみなかった。