ByeBye
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唯乃さんの話は、私が想像していたよりもずっと悲惨なものだった。
「恵さんがいなくなって、好きだった子にも最低なことして、毎日違う女の相手して、お金もらって。…そうやって生きていくことにしたんだよ、樹は」
どうして私は気づけなかったのだろう。
樹は樹なのに。
最低なのは、今も昔もずっと私のほうだ。
「…何度か樹に会ってるんでしょう。柚生があんたのこと見かけて連絡してきた。樹とユナが歩いてるって」
こくん、と頷く。
「柚生とあんたに交流があったのは驚いたけど、よかった」
唯乃さんは言葉を続ける。
「繁華街で樹を見かけて、ホストだって知った?樹を見た瞬間のあんたの様子がおかしいって柚生は最初から気づいてた。好きかどうかまではわからないけど、確実になにか思ってることがあるって」