ByeBye







『…早く彼氏、作って』


『…今日のことは、忘れてもいいから』


『俺はもう、有那の知ってる俺じゃないよ』

『…会いたくなかった、』







涙が止まらなかった。


樹────貴方は。


どんな気持ちでその言葉を紡いだのだろう。
どんな気持ちで私と夜を超えたのだろう。

会いたくなかった、なんて。



『彼女できた』

『もう、有那とは会えない』


その嘘は、どれだけ自分を苦しめたのだろう。



「っわ、たし…っ」

「…あんたしかいないの。…あたしたちじゃ、無理」

「…うぅ…っ、」


「あんたが、樹を解放してあげて」







もう辛い思いしなくていいよ。
知らない女の子抱かなくていいよ。
一人で抱え込まなくていいよ。


だから、私だけを見て────…







「…失礼、します……っ」

私は、勢いよく彼女の家を飛び出した。

< 115 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop