ByeBye
『…早く彼氏、作って』
『…今日のことは、忘れてもいいから』
『俺はもう、有那の知ってる俺じゃないよ』
『…会いたくなかった、』
涙が止まらなかった。
樹────貴方は。
どんな気持ちでその言葉を紡いだのだろう。
どんな気持ちで私と夜を超えたのだろう。
会いたくなかった、なんて。
『彼女できた』
『もう、有那とは会えない』
その嘘は、どれだけ自分を苦しめたのだろう。
「っわ、たし…っ」
「…あんたしかいないの。…あたしたちじゃ、無理」
「…うぅ…っ、」
「あんたが、樹を解放してあげて」
もう辛い思いしなくていいよ。
知らない女の子抱かなくていいよ。
一人で抱え込まなくていいよ。
だから、私だけを見て────…
「…失礼、します……っ」
私は、勢いよく彼女の家を飛び出した。