ByeBye



.








勢いよく飛び出して行った彼女の背中を見届けながら、あたしはため息をついた。





ねえ、樹。



『…俺にはもう、何も無いから』



その言葉、あの子に会った後でも言えるのかな。


あんたには、まだ大きなものが残ってる。
だからまだ、人生を諦めないで。



「…幸せになって、樹」


あんたが惚れたあの子はきっと、黒く染まったあんたを照らしてくれる。






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