ByeBye
「…い、いないよ」
「好きな人も?」
「そ、れは…」
私が好きなのは樹だよ。
樹だけがずっと好きなの。
忘れたことなんかないんだよ。
今日、会えて本当にうれしいんだよ。
この想いを、ありのままに彼に伝えたらどうなるんだろう。
…怖くて、想像したくなかった。
「…いない、」
「…そっか」
「…樹は?……好きな人、いないの?」
私の声は、少し震えていた。
もし「いる」って言われたら。
私は彼を諦めなくちゃいけないのだろうか。それともまた今みたいに、“親友”という言葉に隠れてそばにいようとするだろうか。
──きっと私は、たとえどんな結果になろうとも後者を選ぶのだろう。