ByeBye
「っわ、」
もともと涙でぼやけていた視界が、真っ暗になる。
「……俺、は」
「…っ、」
「……いっぱい嘘ついた」
「…いいよ、」
「…有那のこと、傷つけた」
「…っそんなのいい…っ」
「…ダメだってわかってたのに……」
「っ、」
「…有那のこと手離したくなかった」
もっと、もっと。弱い部分を見せていいんだよ。
「…どうやっても、忘れられなかった…っ」
貴方の全部、私が受け止めるから。
頼りないかもしれないけど、樹のことになると自分でも驚くくらい行動的になることに気づいたから。
…だから、大丈夫。
絶対にもう、樹を一人にはしないよ。
「…俺で、いいの」
こくんこくん、と彼の腕の中で何度も頷く。
「…樹じゃなきゃやだよ…っ」
「…そ、っか」
すると彼は少し身体を離して私と視点を合わせると、涙でぐちゃぐちゃになった私の顔を見て、「…泣きすぎ」と言って微笑んだ。