ByeBye



「…いないよ」

「…そう」

「うん。…結構長居しちゃったし、そろそろ帰る?」



彼の言葉につられて外を見ると、彼と待ち合わせたときに比べて随分とあたりは暗くなっていた。



「送ってく」

「…や、いいよ。大丈夫」

「ダメ。有那のことは絶対家まで送る」





彼はいつもそうだった。

中学の時も、一緒に帰るときはいつも家まで送ってくれていた。彩羽や他の友達と帰るときも途中からひとりになるし、なんなら一人で帰ることだって普通なのに、「暗いし、有那一人じゃあぶねーだろ」と言って送ってくれる彼の優しさが、私は好きだった。…もちろん今も。




2人で並んで歩くのは本当に久々だった。緊張と嬉しさが同時にこみあげる。手が触れるか触れないかの距離もいつも通り。

好きっていう気持ちがあるだけで、こんなにも彼と時間を共にできることが幸せなのだと知った。


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