ByeBye
「来てよかった!…てか有那、見て!あの人、後ろ姿からしてもうかっこよくない?」
クレープを片手に、もう片方の手で私の肩をバンバンと叩く彩羽の視線の先には、可愛らしい女の子の隣を歩く、制服を着た長身の男の子がいた。
制服を上手に着こなしている感じも、身長も、確かにイケメンを連想させるには十分だ。
「あっ、こっち向きそうじゃない?」
「彩羽落ち着いて?そんなに見たら怪しまれちゃうよ」
「えーでも見えそう!どんな顔だろ───…って、あれ?」
興奮する彩羽は、そのイケメンらしき人の顔が見えた途端、「なーんだ」と言ってはあからさまにがっかりしたように肩を落とした。
「知り合いだったの?」
「知り合いも何も…有那もよーく知ってる人だったぁ。期待したのに…」
そう言った彩羽につられ、その先に目を向けた瞬間。
「…、っ」
思わず、言葉を失った。
そこにいたのは、可愛らしい女の子の隣を歩く────樹だったのだ。