ByeBye
「じゃあ、気をつけてね。もし何かあったら連絡してよ?」
「うん、ありがとう」
彩羽には感謝の気持ちでいっぱいだ。また今度、別のクレープ屋さんに連れて行こう。そんなことを考えながら帰ろうとしたとき。
「ね、ねえっ…有那!」
彩羽は私を呼び止めた。「うん?」と振り返れば、彼女が複雑な表情を浮かべている。
「あの、さ」
「…ん?」
「────…まだ樹の事、好き?」
どくん。心臓が大きく音を立てた。
私が樹のことを好きであれ、私たちが“親友”であることに変わりはないのだ。私の恋心は実らない。応援される価値もない。
だから、私は────
「全然、好きじゃないよ」
そう言うしかないのだ。