ByeBye

｢…そっか。じゃあまた連絡するから会おうね｣



彩羽は少し切なそうな顔をしながらも、何も聞くことなくそう言って帰っていった。
私はどこまでも、彩羽のやさしさに救われている。






彩羽とわかれた帰り道。

一人になって思い返すのはさっきの光景だった。あれはやはり彼女だったのだろうか。ていうかそもそもあれは樹ではなかったとか？…さすがに苦しい言い分かな。

そんなことを考えてはやめて、考えてはやめて。自分の性格に嫌気がさし、大きくため息をついた時。






ブーッブーッと音を立て、スマホが鳴った。

ブレザーのポケットからスマホを取り出し、ディスプレイに出た名前をみて、思わずスマホを落としそうになった。──着信は、樹からだった





震える手で通話ボタンを押す。