ByeBye





彼の手が、器用にボタンをはずしていく。何個か開けられたブラウスの間から、彼の冷たくて大きな手が侵入してきて、私の膨らみに触れた。感じたことのない感覚に、身体をビクッ、と揺れる。



「…や、……っん、」



だんだんと下がる彼の舌に、手に。私の身体は触れられる度に敏感に反応した。下半身がキュッと疼く。



「……有那、可愛い」

「や…、…はぁ…っ」



樹は、ただ喘ぐことしかできない私の耳元に唇を寄せて、甘くささやく。好きな人から名前を呼ばれること、「可愛い」と言われたこと。

それがどうしようもなくうれしくて、幸せで。


──そして、とてつもなく苦しかった。






「…有那がほしい、」

「…っ、いつ、き」

「…痛かったらすぐ言って」



熱を帯びた涙が頬を伝う。この涙はなにを想った涙なのだろう。罪悪感なのか、息苦しさからなのか。はたまた、快楽からくるものか。



「…ごめん、」


止まることなくあふれる涙を親指でぐいっと拭った彼は、かすれた声でそう呟いた。




「…っえ、」

「…有那を巻き込んでごめん…俺の我儘につき合わせてごめん、」

「樹、」


「────でも今だけは、俺のものになって」





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