ByeBye
◇
「…有那、」
「…っ、」
「…良い人見つけて、幸せになって」
家まで送ってもらう途中、会話はほぼゼロだった。
「…今日のことは、忘れてもいいから」
別れ際、彼はそう言って踵を返した。彼の背中を見送ったあと、私はお母さんと顔も合わせずに部屋に駆け込み、バタンと大きく音を立ててドアを閉める。
「…ふっ……、うぅっ、」
ドアにもたれかかるようにしゃがみこんで、私は電気もつけない真っ暗な部屋で子供のように泣きじゃくった。