ByeBye











「…有那、」

「…っ、」

「…良い人見つけて、幸せになって」

家まで送ってもらう途中、会話はほぼゼロだった。


「…今日のことは、忘れてもいいから」





別れ際、彼はそう言って踵を返した。彼の背中を見送ったあと、私はお母さんと顔も合わせずに部屋に駆け込み、バタンと大きく音を立ててドアを閉める。




「…ふっ……、うぅっ、」



ドアにもたれかかるようにしゃがみこんで、私は電気もつけない真っ暗な部屋で子供のように泣きじゃくった。


< 30 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop