ByeBye
目が覚めると、カーテンを閉めずとも真っ暗だったはずの部屋に、起きろと言ってるかのような太陽の光が差し込んでいた。どうやら、泣いているうちに疲れて寝てしまったらしい。
まだ完全に目が覚めないまま、昨夜乱雑に放り投げたままだった鞄を探り、スマホを取り出す。
時刻は8時45分。幸運なことに、今日は講義が午後からだった。
「…喉、乾いた…」
泣きながら寝たせいか、瞼は重く、喉もカラカラだった。重い身体を起こし、1杯水を飲んで、顔を洗う。
朝ごはんを食べようにも冷蔵庫にはこれといって何も入ってなかったし、昨日寝てしまった分進まなかったレポートが残っていたので、私は駅中にあるパン屋さんに行くことにした。
服を選んで、髪を巻いて、化粧をして。童顔な私にガチガチの濃いメイクは似合わないので、基本的に化粧は薄い。そのためか、準備に要する時間は一般的な女の子と比べて短いほうだと思う。
身支度を整えた後、私はすぐ駅に向かった。
目的のパン屋さんは改札を出てすぐ横に位置しているから、改札を行き交う人を横目で流しながら入るのが恒例だった。
───けれど、今日だけは違った。