ByeBye
「ねぇ、明日もお店行っていい?」
「ん。大歓迎。待ってるよ」
「ふふ、やったぁ」
耳に届いたそんな会話と、目の前に広がる光景。
「…っ、」
…最悪の再開だ、と思った。
隣には、昨夜を一緒に過ごしたであろう女の人。昨夜見た女の人とはまた違う女性だったものの、同じように腕を絡ませて歩いていた。昨日の今日で会うなんて、本当に最悪だ。
「じゃあまたね、イツキ!」
そんな会話を最後に彼女と別れた彼が、こちらに向かって歩いてくる。
バチ、と、ふいに交わった視線。ごくり、生唾を呑み込んだ。
「…有那?」
彼の声をこんなに近くで聞くのは3年ぶりだった。驚いたように目を見開いて、それから彼は気まずそうな表情を浮かべた。
だけど、そんな表情は一瞬でなくなり、私が中学生の時に見慣れた樹の顔に戻った。