ByeBye
「…今から仕事?」
「っあ、学校……午後から、」
「じゃあなんでこの時間に駅?」
「…朝ごはん、食べてなくて」
「ああ。それでここ、ね」
ここ、と言って彼はパン屋をチラッとみた。
いたって普通の彼。
3年前のあのことなんか無かったかのように淡々と話を進める樹に対して、私は平常を装って話すのに必死だった。
昨日、繁華街で見かけたなんてばれないように。
貴方のことで一晩中泣いた、なんて知られないように。
今もずっと引きずってるって、悟られないように。
それなのに。
一刻も早くこの場を去りたくて仕方なかった私に、彼はこんなことを言い出した。
「…じゃあ俺も一緒に食べようかな、朝ごはん」
「え、」