ByeBye
なんてそんな他愛もない会話は一瞬で終わる。
全部どうでもいい、なんて思っても、やっぱり気になるものは気になるわけで。私は重い口をゆっくり動かして、思い切って聞くことにした。
「…樹、仕事今何やってるの?」
震える声を必死で抑える。彼がホストをやっていることなんて知らないふりをする。途端、樹の顔から柔らかかった雰囲気が消えた、気がした。
「…なにって、営業?かな」
彼の答えに、自分で聞いたくせに苦しくなる。
「…そ、なんだ。…私昨日…繁華街で樹のこと見て、」
「…へえ?」
私は何がしたいのだろう。
彼の嘘を暴かせたいのだろうか。それとも、彼の口から否定の言葉を聞きたいのだろうか。
「…ホ、ホストクラブに…」
「あー、うん」
────私は、どうして。
「さっきいた女の人とは…違う人だった…」
「…まあ、そうだね」
余計なことまで、口走ってしまうのだろう。