ByeBye
心臓はとれそうなくらいバクバクだし、指先も手も震えが止まらないし、顔なんか見れたもんじゃない。
だけど、必死にひとつひとつ言葉を発する私に、樹は顔色ひとつ変えないで一言で返してくる。
「…樹は、…そういう仕事、してるの…?」
思えば、1番聞いてはいけないことだったのかもしれない。自分の目で見たことを信じたくないからって、わざわざ本人に聞いてまで確認したいことではなかった。
樹と私は違う世界の人間で、もう親友でも何でもないんだって、はっきり突き放してもらいたかったのかもしれない。
そしたらもう、私が付け入る隙なんかないんだって、実感できるから。
「…そうだよ」
「っ、」
「あいつは、俺に馬鹿みたいに金かけてくれるただの客」
吐き捨てるように言われたその言葉。彼は、ひどく冷たい目をしていた。
言葉に詰まる私とは裏腹に、樹の口からは次々と言葉が出てくる。