ByeBye






耳に響いた彼の低い声。樹の言葉が、グサリと刺さる。





「…"綺麗"な有那には、わかんないよ」

「…、っ」

「本当は最初からわかってたんだろ?俺がホストだって。知ってたから、聞いたんでしょ」





樹の言う通りだ。昨日見た出来事を私が信じたくなかっただけ。胸の真ん中あたりがキリキリと痛い。喉が渇く。

私は、…彼の触れてはいけない部分に触れてしまったのかもしれない。




「ホストがどういうことしてるか知ってる?」




樹はカウンターに頬杖をついて、再び口を開いた。




「…知らないか。有那はそういう子じゃないもんね、」

「…え、と、」

「ホストは、お金のためならなんだってする。セックスでお金が稼げるならそのくらいどうってことないんだよ」

「っ、」

「もちろん、俺もね」




< 58 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop