ByeBye
耳に響いた彼の低い声。樹の言葉が、グサリと刺さる。
「…"綺麗"な有那には、わかんないよ」
「…、っ」
「本当は最初からわかってたんだろ?俺がホストだって。知ってたから、聞いたんでしょ」
樹の言う通りだ。昨日見た出来事を私が信じたくなかっただけ。胸の真ん中あたりがキリキリと痛い。喉が渇く。
私は、…彼の触れてはいけない部分に触れてしまったのかもしれない。
「ホストがどういうことしてるか知ってる?」
樹はカウンターに頬杖をついて、再び口を開いた。
「…知らないか。有那はそういう子じゃないもんね、」
「…え、と、」
「ホストは、お金のためならなんだってする。セックスでお金が稼げるならそのくらいどうってことないんだよ」
「っ、」
「もちろん、俺もね」