ByeBye
樹の声は、静かに、鮮明に。私の耳まで届いた。
「さっきまでいた女だってそのうちの1人だよ。昨日店に来てくれて、そのままアフターで朝まで」
「…樹、」
「ちょっとサービスしただけでお札がいっぱい」
「…っ、やだ、もういいって」
もうこれ以上、彼の口からそんなの聞きたくなかった。
「俺にとっちゃ、稼ぐための"道具"でしかないのに」
「…ねぇっ、」
「…有那。俺はさ、」
もういい、やめて。何も言わないで。お願いだから───
「もう、有那の知ってる俺じゃないよ」
その言葉は、私の胸の奥深く、痛いところをついた。