ByeBye
…会いたいなぁ。
私の気持ちはないものとして、“親友”としてなら彼に連絡を入れることは許されるだろうか。もう一度だけでいい。会いたいと言ったら、会ってくれるだろうか。
耐えきれなくなった私は、自分の気持ちを隠し思い切って樹にメールをいれた。
"久しぶり。ひさびさに会わない?"
中学の時と変わらない、絵文字のない端的な文。私の持つ下心なんかわかるわけがない。送信ボタンを押して数分。樹の返信は思いのほか早かった。
"いいね。一番近いと明日空いてる。有那の予定に合わせられるから空いてる日教えて"
いつも通り。彼の返信も今までと何も変わらない。
だけど、具体的に日程を提示してくれるところとか、彼の変わらない優しさとか。
今までの当たり前がこんなに嬉しいものだとは知らなかった。意識せずともにやけてしまう。私は“じゃあ明日にしよう。17時に駅でいい?”と返事をし、スマホを閉じた。
…明日、樹に会えるんだ。