ByeBye
「おねーさん、イツキさんの本カノっすか?」
「ほ、本カノ…?」
席に着いてすぐ、蘭さんはそんなことを聞いてきた。
「あーいや。初めての人をイツキさんがVIPに通すって見たことないんで。彼女なのかなーって」
「っち、違います…」
「えーそうなんすか?おねーさん可愛いからてっきりそうなのかと。変なこと聞いちゃってすみません」
蘭さんは仔犬のように人懐っこくて、可愛さが売りの男の子だった。
どうやら、樹は違うお客さんのところに行かなければならないらしく、それが終わるまで蘭さんが私のところについていてくれるとのこと。
「イツキさんめちゃくちゃ人気なんすよ。今日、急にイツキさんからこの時間頼むって、お願いされて。別に適当に空いてる人に頼めばよかったのに」