ByeBye





「俺だって人気なんすよ?イツキさんほどじゃないけど」


なんてそんなことを言いながら、蘭さんが私のグラスにワインを注ぐ。私はお酒があんまり得意ではないけれど、この場所に来てしまったからには飲まないわけにはいかない。




「じゃ、ユナさんとの出会いに乾杯」

「乾杯…」



ホストというだけあって、蘭さんは話がうまかった。私が樹のただのお客さんとは思っていないようだったけれど、「訳アリなんすね」なんて言って深く聞こうとはしなかった。

…だから樹は蘭さんを私につかせたのかもしれないと思ったりもした。






すると、なにやら店内が急ににぎやかになり始めた。





「あー、こりゃイツキさん、シャンパン開けさせたな」

「…樹のお客さん?」

「あ、はい。イツキさん酒飲ませるの上手いんですよね。多分このコール終わったら戻ってくると思うんですけどね」


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