ByeBye
3年前のあの日以来、"そういう"行為をしてこなかった私にとって、こんなの初めてにも等しかった。
堪えていた涙は、快楽と襲い来る罪悪感で限界を迎え、ぽろぽろと零れ落ちた。
ただただ泣いて、鳴いて。
呼吸すらままならない今のこの状況が、はずかしくて仕方ない。
耐えきれなくて目を逸らすと、「…ダメ、こっち見て」と無理やり目を合わせられ、顔の熱が一気に上昇する。
────これが、恋人同士だったら。
やましい気持ちなんて、一つもないのに。
…樹、ごめんね。
懲りずにまだ、貴方が好きなの。
ずるくて、最低なのはわかってるから──…だから今は、この幸せに浸らせてほしい。
彼はおもむろに私から身体を離し、ワイシャツを脱ぎはじめた。
「…っ、」
その姿すら様になってて、本当かっこいい。思わず目が離せなくなる。
「有那」
そんな私の視線に気づいたのか、樹は少し眉をひそめて私の名前を呼んだ。