ByeBye
そんな過去を回想しながらスマホを見て時間を確認すると、約束の時間の5分前になっていた。
「…そろそろ行こうかな、」
制服のネクタイを整え、…いつもよりスカートを短くして、最後にもう一度だけ前髪を梳かして私はトイレを出た。
待ち合わせの場所に向かうと、そこにはすでに先着がいた。中学のときからすでに私よりは随分と大きかった身長がまた一段と伸びたように見える。スラッとした長い手足に、私とは違う高校の制服を上手に着こなす彼。
「…、樹っ!」
名前を呼べば、相変わらず整った顔が振り向いた。
「あ。有那」
「…ひさしぶり。…なんか、また身長伸びたね」
「今、175㎝」
「口に出すと確かに伸びたわ、俺」と言って柔らかく笑う彼を見て、かっこいいと。心の底からそう思った。
少し低くなった声に、伸びた身長。髪型や髪色は大きく変わりはしないものの、さらにかっこよさが増しているのは事実だった。