ByeBye





電話に出ると、「もしもし」すら言わないうちに彩羽は私の居場所を聞いてきた。彼女は少しせっかちな部分がある。




「今、駅に着いたところだけど…」

「ちょうどよかった。今日暇って言ってたよね?有那に会いたいって言ってる人がいるんだけど」

「会いたい人?」












彩羽との電話を切った後、私は駅から歩いて5分のところにあるカフェに向かった。

密かに立てていた今日の予定は無し。少し楽しみにしていたので残念な気持ちもある。





先ほどの電話の内容をざっくりまとめると、どうやら私に会いたいと言っているのは春川くんだという。


以前、彩羽の大学の友達と一緒に遊んだ中にいたうちの一人の彼。

正直なところ、彼は私と仲良くなる気はさらさらなさそうに見えたので、私に会いたいということはきっとなにか理由があるのだと思う。





私の連絡先を知らなかったため、彩羽を経由したらしい。
彩羽は私が今日一人で街に出ることを知っていたのでその旨を春川くんに伝えたところ、今からこちらに来てくれるとのことで、駅近のカフェで落ち合うことになったのだ。





春川くんと2人で会うなんて気まずすぎるなぁ。

何の用だろう。なるべく早く済ませてショッピングだけでもして帰れないかな。

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