ByeBye





「俺は、樹と同じ高校だった」

「…そ、そうなんだ…」

「樹から何回か日向さんのことは聞いたことがあったから。彩羽たちと一緒に遊んだ時に、“ユナ”が日向さんのことだったんだって初めて知った」




「世間って狭いよな」と言って、彼はミルクティーに口をつける。

働かない頭で、樹もミルクティーが好きだったなぁ…と、そんなことばかりを考えてしまう。そんな私をよそに、彼は話をつづけた。





「…あの後、樹と会ったんだろ」

「っえ、」

「…ごめん。あの日、俺も繁華街にいたんだ。そしたら2人を見つけたから…本当、偶然」





ドクン。心臓が大きく音を立てた。彼の指す“あの日”は、彩羽たちと遊んだ翌日の───樹と最後にあった日だ。



今になって考えてみれば、居酒屋の多い繁華街は、お酒を飲みに来た大学生だってあふれている。

誰かに見られている可能性だってあったのに、あの時の私にはそこまで考える余裕がなかった。



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