ByeBye




樹にはお金が必要だった。




高校に行くお金も、恵さんの治療費も、2人の持つお金では払いきれるものではなかった。

和臣さんは離れてからも息子として樹のことを大事に思っていたから、尚更心配だったんだと思う。




「…樹。お金は全部私がどうにかするからお前は心配しなくていいよ」



和臣さんは、語りかけるようにそう言った。




───だけど。





「あんたはもう俺の父親じゃないだろ」




樹にとって和臣さんは、母親と自分を裏切って愛人と再婚した"元"父親で、そんなやつに借り作るのなんてごめんだと彼は言った。



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