無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
ま、いっか。
あと少し残ってる作業をやっちゃわなきゃ。
気を取り直してカウンターへ戻り本に手をかけた。
そして残りの本を仕分けていく。
「さっきのさぁ」
「わぁ!」
気配もなく隣に並ばれて、心臓がバクバク。
立ち上がるの面倒だって言ってたから、ゲームしてるのかと思いきや。
「え? あの」
わたしがつかんだ本の手の上に、スッと手を重ねられて目を見開く。
「さっきのイチャイチャしながらわざわざこんなところまで付き合ったっていう報告をしにきた空気読めないカップルって、いったいなんなの?」
「え……?」
なんなのって言われても……。
この手こそ、なんなの……?
細くてしなやかだけど、骨張っていて、しっかりした男子の手。
距離も近すぎて、内心オロオロ。
「と、友達だよ……中学からの」
「ふーん。友達、ね」
興味がなさそうな受け答え。
「そのわりには泣きそうな顔してんね」
「……っ」
「わざわざ報告しにくんなって、言ってやればよかったのに」
まるでわたしの気持ちをすべてわかっているかのような発言に、言葉が詰まった。
「な、なに言ってんの。べつにわたしはふたりを応援してるし? そんなこと言う理由なんてないよ」
高瀬くんの手をそっと離して、本を棚ごとに分けたカゴの中へ入れる。
そしてまた次の本を取ろうと手を伸ばしたら。
──ギュッ
本をつかむ前に、高瀬くんに手を握られた。
「あの、えと……」
「応援してるって感じには見えないけど?」
クスッと笑いながら一瞬だけこっちに視線をよこす高瀬くん。
わたしの強がりも、秘めた想いも、きっと全部わかってる。
そんな瞳。