無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

ああ、そういうことか。

うん、納得。

「どこ?」

「え?」

「穂波の席、どこ? 忘れ物って?」

「あ、えっと、窓際の前から三番目。机の中にスマホ忘れちゃって……」

「わかった」

「た、環……?」

教室のドアに手をかけ、勢いよく開ける。

未だに盛り上がる三人の女子たちは、わたしが入ってくるのを見ておしゃべりをやめた。

「え、誰?」

「明らか別クラの人だよね」

「なんの用?」

さっきよりもトーンダウンしたヒソヒソ声。

でも内容はバッチリ聞こえてくる。

窓際の前から三番目、と。

ここか。

きれいに整頓されてる。

さすが穂波……。

机の中を探り、スマホを手にした。

「っていうか、そこ穂波の席じゃん」

「なになに? なんなの?」

「穂波の差し金?」

どうしてこんなにイライラしてるのか、自分でもわからない。

だけど、だけど……。

「なにも知らないくせに、穂波のことをとやかく言うのはやめてくれない?」

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