無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「はぁ? なんなの?」
「あたしたち、あんたのことなんて知らないんですけど」
「うざーい!」
それはこっちのセリフだよ。
「卑怯だよ、コソコソ言うの。面と向かって言えばいいじゃん」
「言えるわけないでしょ、陰口なんだからっ。バカなの?」
強気に言い返されちゃった。
まぁ、たしかにそうか……。
「だいたいね、言われる側にも問題があるんだよ」
出た、屁理屈。
言われる側の気持ちも考えないで、自分たちが正しいと主張するのはやめてほしい。
「わたしは中学のときから穂波を知ってるの。付き合いが浅いあなたたちよりも、ずっとね」
だから適当なことを言われて腹が立った。
勝手な憶測で穂波をけなさないでよ。
ムカつくんだよ、そういうの。
「八方美人でもなんでもなくて、あれが穂波の素なの。そういう子なの。そこんとこ、ちゃんと理解してよね!」
念押しするようにピンッと人差し指を突き立てた。
「じゃあ! さよなら!」
クルッと振り返り、踵を返す。
ドアにかじりつくようにして穂波が立っていた。