無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「ねぇ」

耳元に唇を寄せて、クスッと笑われた。

それはそれは凄まじい破壊力で、身動きひとつできずにその場に固まる。

「俺が慰めてあげよっか?」

艶のある声が近くで響いて、心臓がさっきまでとはちがった意味でバクバク。

慰め、る……?

わたしを?

高瀬くんが?

どうやって?

話を聞いてくれるってこと?

言葉の意味を理解するなんて、パニック状態の今はできるはずもなく。

そ、それより、なんでまた手を……?

なんとか顔を上げると、目が合ってニコッと微笑まれた。

またもやすごい破壊力。

グイッと腕を強く引かれて反対側の手で髪を下からすくわれた。

た、高瀬くんっていろいろ慣れてる……?

呆然と突っ立っているだけのわたしは、他のことが考えられないくらい目の前の高瀬くんだけで精いっぱい。

再び腕を引き寄せられて、フワッと香ったシトラスの匂いに心臓が大きく飛び跳ねた。

「あ、あの! な、んでこんなこと……っ?」

ふわり。

抱きしめられて動きが止まる。

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