無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

だってまだ高瀬のことよく知らないもん。

どんな人なのかって、ナゾのままだし。

なに考えてるか、全然わからない。

「隣いいかな?」

四人がけの席にふたりで座っていたら、ふたり組みの男子がトレイを持ってやってきた。

毛先を遊ばせた髪型と、奥二重の切れ長の瞳が特徴的なクールな印象の男子。

もうひとりは派手な金髪の人だった。

「俺だよ、俺」

「オレオレ詐欺……」

美保がボソッとつぶやいた言葉に噴き出しそうになる。

「え、マジでわかんないの? ファミレスで出会ったじゃん。サッカー部の渡瀬(わたせ)だよ」

渡瀬、くん……?

サッカー部?

ファミレスで出会ったって、あれかな。

西河がきていたときに一緒にいた人?

正直、西河と権田くんしか覚えてない。

「権ちゃんに合コンのセッティング頼んだんだけど、聞いてくれた?」

「あ……」

あのときの人……?

そこでようやく思い出した。

わたしがオーダーミスしたときの人だってことを。

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