無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

教室に戻って高瀬の姿を探す。

美保には一応高瀬にも報告しておけと言われてしまった。

ワイワイガヤガヤ騒がしい教室の中で、ひときわ目立つグループの人と盛り上がっている高瀬。

「高瀬、ちょっといい?」

ちょいちょいと手招きすると、ゲームしている手を止めてスマホを机に置き、スッと立ち上がってこっちにきてくれる。

「どうしたの?」

「うん、あのね……」

合コンに行くのを伝えるだけで、なんでこんなに緊張するんだろ。

「権田くんに誘われてた合コンなんだけど」

「うん……?」

それまでゆるかった空気が、高瀬のそのひとことで張り詰めたものに変わる。

にこやかだった表情も一気に険しくなった。

そもそも、どうして高瀬に断りを入れなきゃいけないんだっけ。

そんな間柄でもないのにさ。

それでもなかなか言いにくいのは、高瀬がいい顔をしないってわかってるから。

「行くの? 合コン?」

「う、うん。えへ」

「いや、えへじゃなくてさ。かわいくごまかしてもムダだよ」

トゲトゲしい声に身が引き締まる。

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