無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
そのまま高瀬と一緒にカラオケボックスを出た。
ツンとした態度の高瀬に強気に出ることができず、手は繋がったまま。
このまま駅に向かうつもりなのか、バイト先のファミレスの前を通りすぎて交差点で信号待ちをする。
気まずいのにドキドキしてるなんて、こんなのすごく矛盾してるよね。
「あいつにどこ触られた?」
「え……?」
鋭い瞳に心を射抜かれそうになった。
「手とあとは?」
「べつに、どこも……あっ」
頬とわずかに首も……。
あとめちゃくちゃ密着されたっけ。
「なに? 素直に言った方が身のためだよ?」
怒っているわけではなさそうだけど、なんとなく怖い。
「意地でも言わないわけね」
「……っ」
「じゃあ俺も、なんとしてでも聞き出すから」
そう言って手を引かれ、高瀬はタワーマンションの前までやってきた。
ポケットからボタン型の鍵を出して、あっという間にオートロックを解除する。
中へ進むとロビーはとても広くて、天井から吊るされたシャンデリがきらびやかな光を放っていた。
「た、高瀬……」
まるで別世界。
雰囲気に圧倒されて、キョロキョロしてしまう。
辿り着いたのは自宅ではなく、プライベートルームと書かれた部屋の前。