無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

そのまま高瀬と一緒にカラオケボックスを出た。

ツンとした態度の高瀬に強気に出ることができず、手は繋がったまま。

このまま駅に向かうつもりなのか、バイト先のファミレスの前を通りすぎて交差点で信号待ちをする。

気まずいのにドキドキしてるなんて、こんなのすごく矛盾してるよね。

「あいつにどこ触られた?」

「え……?」

鋭い瞳に心を射抜かれそうになった。

「手とあとは?」

「べつに、どこも……あっ」

頬とわずかに首も……。

あとめちゃくちゃ密着されたっけ。

「なに? 素直に言った方が身のためだよ?」

怒っているわけではなさそうだけど、なんとなく怖い。

「意地でも言わないわけね」

「……っ」

「じゃあ俺も、なんとしてでも聞き出すから」

そう言って手を引かれ、高瀬はタワーマンションの前までやってきた。

ポケットからボタン型の鍵を出して、あっという間にオートロックを解除する。

中へ進むとロビーはとても広くて、天井から吊るされたシャンデリがきらびやかな光を放っていた。

「た、高瀬……」

まるで別世界。

雰囲気に圧倒されて、キョロキョロしてしまう。

辿り着いたのは自宅ではなく、プライベートルームと書かれた部屋の前。

< 120 / 229 >

この作品をシェア

pagetop