無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「ほんと、やめ……」
──チュッ
さらに高瀬くんの顔が迫ってきて、唇になにかが触れた。
微動だにできず、なにが起こったのかすぐには理解できない。
唇を離すと、彼は食い入るようにわたしを凝視する。
「やっべ、つい」
そして悪びれる素振りもなく、しれっとそんなことを言った。
つい……?
ついって、なに……?
「……っ」
「おーい?」
「ふ、ふざけんなっ……!」
ドンッと強く肩を押すと、高瀬くんはあっさりわたしから離れた。
なんで、こんな。
ただのクラスメイトの、ほとんど話したこともない高瀬くんなんかと……。
キスなんて、キス、なんて……っ。
ゴシゴシ腕で唇を拭う。
「最っ低!」
不意に涙があふれてきて、とっさに立ち上がった。
同じ空間にいるのが嫌で、わたしはたまらずその場から走り去った。