無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「ほんと、やめ……」

──チュッ

さらに高瀬くんの顔が迫ってきて、唇になにかが触れた。

微動だにできず、なにが起こったのかすぐには理解できない。

唇を離すと、彼は食い入るようにわたしを凝視する。

「やっべ、つい」

そして悪びれる素振りもなく、しれっとそんなことを言った。

つい……?

ついって、なに……?

「……っ」

「おーい?」

「ふ、ふざけんなっ……!」

ドンッと強く肩を押すと、高瀬くんはあっさりわたしから離れた。

なんで、こんな。

ただのクラスメイトの、ほとんど話したこともない高瀬くんなんかと……。

キスなんて、キス、なんて……っ。

ゴシゴシ腕で唇を拭う。

「最っ低!」

不意に涙があふれてきて、とっさに立ち上がった。

同じ空間にいるのが嫌で、わたしはたまらずその場から走り去った。

< 13 / 229 >

この作品をシェア

pagetop