無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「服、どうしよう……」

クローゼットを開けて、ありとあらゆる限りのおしゃれ着を引っ張り出して並べる。

どうしよう、こんな展開になると思ってなかったから……。

デート用の服なんて持ってないよ。

ああでもない、こうでもない。鏡の前でコーディネートしてみるけど、なかなか服が決まらない。

合コンのときに着てった服は高瀬も一度見てるしなぁ。

できればちがう服がいいよね。

って、高瀬基準で服選びしてる自分がほんとやだ。

べつになんだっていいじゃん。デートじゃないもん。

高瀬はただの友達だし、意識する方がおかしいよ。

そう思い直して、デニムのロングスカートとワインレッドのニットセーター、ベレー帽を合わせた控えめなコーデにした。

あとはベージュのモコモコのコートと、足元にはスニーカーを合わせればいいよね。

ベッドに入ったものの……。

目が冴えて眠れない。

変に鼓動が高鳴って、高瀬の顔がまぶたの裏に焼きついてる。

落ちたくないとギリギリのところでとどまっている理性が、グラグラ揺れている。

ダメダメ、落ちちゃ。

這い上がれなくなる。

高瀬は友達。

そう自分に強く言い聞かせて、そっと目を閉じた。

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