無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「やばぃぃ……!」
うわーん、こんな日に限って寝坊するなんてついてないよ。
あらかじめ決めておいた服にサッと着替えて、カバンをつかんで部屋を飛び出す。
家には誰もいなくてリビングはシーンとしていた。
昨日目覚ましかけるの忘れちゃった。
朝ごはんが用意してあったけど、お母さん、ごめん。食べてる時間がないっ。
顔を洗って歯を磨き、髪の毛を三つ編みにする。
時間がない中でも、髪だけには気合いを入れたいっていうわたしの変なプライド。
黒いベレー帽をかぶって、モコモコのコートを羽織る。
家の鍵とカバンをつかんだら、玄関までダッシュして通学用のスニーカーを履いた。
しっかり鍵をかけて家を出てから駅まで猛ダッシュ。
遅れること連絡した方がいいかな。
走りながらカバンの中を探ったけれど、スマホが一向に見当たらない。
うそうそ、まさか。
忘れちゃった?
最悪だよ。
取りに戻ってる時間はないので、脇目もふらずそのまま駅へと急いだ。