無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
ありえないんだけどっ!
唇にはまだはっきりとした感触が残っている。
最低っ!
やだ!
なんなの、ホント!
失恋した挙句、好きでもない人に仕返しとか言われてキスされるなんて。
今日はきっと厄日だ。
そのまま家に帰ったけどなにもする気になれず、じっとしてたら高瀬くん、いやこの際もう高瀬でいい。
高瀬のことを思い出すから、中学の卒業アルバムをクローゼットから引っ張りだしてきた。
卒業アルバムの中のわたしはこれから待ち受ける運命なんて知らずにニコニコ笑っている。
西河も穂波も、幸せそうだ。
きっとこのときから、ふたりは両想いだった。
そう思うと胸が激しく締めつけられて、涙が止まらなくなった。
明日なんてこなければいい。
そう思いながらベッドに入ったけれど、目を閉じても眠れるはずもなく。
手を繋いで歩くふたりの背中がまぶたに焼きついて離れない。
忘れたいのに……。
時間が経つごとに傷口はどんどん広がっていった。