無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「ねぇたまちゃん」

ホームにやってきた電車に乗り込もうとしたら、腕を引かれて上半身が後ろへ引き寄せられる。

「なんでよりによってあのふたりと一緒なの？ 俺、たまちゃんがほんとにわかんないんだけど」

呆れ顔というよりは、眉間にシワを寄せて考え込むような素振り。

「い、いろいろあるの、わたしにも」

「ふーん」

「さ、早く乗ろっ！」

逆に今度は高瀬の腕を引いて電車に乗り込む。

閉ざされた奥のドア付近にふたりがいたので、わたしも高瀬とそこへ立つ。

なんだか変な組み合わせ。

「高瀬って背が高いよな。何センチあんの？」

「え？ さぁ、最近測ってないからな」

西河と高瀬が会話する横で、穂波にチョンと肩を叩かれた。

「ねぇねぇ、なんだか顔が赤くない？ 大丈夫？」

「えっ！？ あ、赤くないよ」

「そう？ 高瀬くんって、最寄りここだっけ？ なんで環と一緒にきたの？」

「それが駅で待ち伏せされてたんだよね。走ってきたんだって」

「ま、待ち伏せ？」

「べつにあれだよ？ ゆっるーい感じのやつね。たまたま早く起きたから、きちゃったんだって」