無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「環、おはよう」

「うわぁ!」

教室のドアの前にいたわたしは、背後から肩を叩かれて飛び上がった。

ドッドッドッドッ、焦りから心拍数が速くなっていく。

「ちょっと、なにその反応。失礼じゃない?」

「ごご、ごめん」

友達の美保(みほ)がそんなわたしに苦笑い。

「なにビクビクしてるの?」

美保は細い指先で髪を弄びながら、かわいく聞いてきた。

グロスで艶めく唇がチャームポイント。かわいい物が大好きなかわいい女の子だ。

「べっつにー? 普通だよ」

「いや、明らかにキョドりながら教室覗いてたよね? バッチリ後ろから見えてましたー!」

「うっ。ねぇ、美保。高瀬きてる?」

美保の後ろに隠れながら教室の中を見る。

「え? 高瀬くん? なんで?」

「俺がどうかした?」

ギクッ。

ま、まさか。

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