無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

なにも言えなくなってしまったらしい穂波が、大人しく西河に手を引かれながら歩いて行く。

その後ろを高瀬に手を引かれながら歩くわたし。

「あの、なんかごめんね」

「なんで謝るの?」

「え、だって。ああいうこと言われるの気分悪いかなって」

不安げに声を出すと、高瀬はさも気にしていないかのようにフッと笑った。

「全然。ま、いい加減な俺が悪いしね。言われて当然だよ」

「た、高瀬はいい加減なの?」

「さぁ、どうかな。それはたまちゃんの感性で考えることだからね」

「…………」

ほら、こういうとこ。

踏み込まれたくないのか、プイッと目をそらされる。

高瀬の感性では、高瀬自身をいい加減だと認めてるってこと?

どんなところがそうなの?

聞いてもきっと教えてくれない。

知りたいって思うようになったわたしの負け。

「あ、そうだ。これあげる」

「え……?」

繋がっていない方の手をスッとわたしに差し出した高瀬の手には、水族館のショップ袋が握られていた。

「えっ、と」

「受け取ってよ。たまちゃんっぽくて、見た瞬間思わず買っちゃったんだ」

高瀬が楽しそうに笑うから、つい袋を受け取ってしまった。

中身は……。

「あ、かわいい!」

手のひらよりも少し大きいサイズのマンボウのぬいぐるみだった。

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