無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

いつの間に?

トイレに行ってたときかな?

どんな顔で高瀬がこれを買ったか想像したら、おかしくてちょっと笑った。

マンボウを見てわたしを思い浮かべてくれたその気持ちが、なによりも嬉しくて心が温かくなる。

でもその分、突き放されて心臓がキュッと痛んだりもして。

それでも嬉しさの方が勝っているんだけど、こんなことされたら普通にもう……。

「ありがとう……!」

それしかないよね。

口元もわずかにゆるんで、ニコッと笑うとなぜだか高瀬は大きく目を見開いた。

「ほんと不意打ちのその笑顔、ずるい」

「えぇっ? べつに、そんなつもりは」

ずるいのは高瀬の方だよ。

クシャッと髪を触りながら、そっぽを向いた頬はほんのり赤い。

そんな態度を取られたら、高瀬しか見えなくなる。

なに考えてるのかなって、頭の中を覗いてみたくなる。

ダメだってわかってるのに、もっと近づきたいって……。

目の前の高瀬しか見えなくなる。

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